本日、私にとって驚きの出来事がありました。
私が司法修習生のころ、検察修習の指導担当責任者だったA次席検事が、
弁護士になっていたことを知ったのです!
(以下、便宜上、「A次席検事」と呼ばせていただきます。)
次席検事とは、地方検察庁では検事正に次ぐナンバー2のポジションであり、
各検察官の事件決裁を行ったり、検察庁の組織運営や管理を行います。
私の司法修習は検察修習から始まり、
はじめて私が関わった法曹三者が検察官であったからかもしれませんが、
A次席検事に対しては、経歴・実績はさることながら、
「非常に頭の切れる人」との印象がありませした。
他方で、A次席検事は司法修習生のことを気にかけて下さり、
修習生の飲み会には、多忙な業務の傍ら、何度も顔を出してくださいました。
私としては、A次席検事のこれまでの経歴・実績と相まって、
「この人は絶対、検察庁の中でもかなり上に行く人だな~。」と勝手に思っておりました。
と同時に、「弁護士には、絶対ならないだろうな~。」と思っておりました。
A次席検事の事務所ホームページによれば、
私が独立し弊事務所を開設した時期とちょうど同時期に、
弁護士として独立されたようです。
かれこれ独立からもう4年以上経っている計算になりますが、
私は、全く知りませんでした・・・。
まさかの「弁護士」、まさかの同業者とは・・・。
A次席検事には、私の起案について厳しいダメ出しを受けた反面、
私が主任として担当した、とある事件の事件処理の理論構成及び結論について、
検察修習最終日にお褒めの言葉をいただきました。
とある事件は、事件処理の拠り所とすべき最高裁判例がなく、
刑法上の理論的問題点を含み、
その結論については、現役の検察官でも意見が分かれる難事件でした。
この事件処理については、私と一緒に事件担当をした司法修習生とともに、
知恵を出し合い、議論を重ね、検察修習最終日まで取り組んだ記憶があります。
A次席検事から、検察修習最終日に褒められたことは、
「まあ最終日だし、単なるリップサービスかな」と思っていたのですが、
私達の後に検察修習に入った司法修習生らからも、彼らの前で、
「A次席検事が私の事件処理を手放しで褒めていた。」ことを聞いたときに、
「お~、マジなやつじゃん!」と嬉しくなったことをよく覚えています。
弁護士以外の他の法曹、しかも実績のある大先輩から褒められたことで、
私は、「君は実務法曹として十分やっていける」旨のお墨付きをもらったような気がして、
A次席検事の言葉は、現在でも、私の心の拠り所となっております。
弁護士の仕事は、依頼者あってのものですので、
弁護士としての事件処理は、依頼者目線、依頼者ファーストで行うことはいうまでもありませんが、
一個人として、A次席検事は、「一度対戦してみたい弁護士」の一人ですので、
その時に備え、今後も実務法曹としての腕を磨きつづけていきます。
弁護士 高橋 裕