同性パートナー制度について

 東京都渋谷区で同性パートナーの証明書を発行するという条例が制定されました。

 

 同性のカップルが夫婦と同じ関係にあることを,公的に証明するということです。

 

 夫婦とは,「結婚」をした男女のことですが,この「結婚」のことを法律では

「婚姻」と言い,婚姻には法律に基づいた効力が与えられています。

 

 例えば,夫婦の名字が同じになったり,同居してお互いに助け合って生活する義務が

発生します。法律があえて保護する関係なので,夫婦であることは税や社会保障の面

でメリットを得ることができます。

 

 同性のカップルも,生活状況が夫婦と同様であれば,社会的にも法的にも夫婦と

同様に扱われるべき,ということでしょう。同性カップルがパートナーであるという

公的な証明書が発行されることで,証明書の提示を受けた事業者はそのカップルを

夫婦と同様に扱うことが期待されます。

(条例を無視すると,事業者名が公表される可能性があるようです。)

 

 もっとも今回の条例では,同性カップルがパートナーシップであるという証明書が

発行されるだけなので,婚姻により発生する夫婦に対する法律的な効力やメリットは,

同性カップルには生じません。その意味で,婚姻とは明確に異なるものです。

 

 世界的に見ると,男女間の法律的関係である婚姻制度とは別に,同性カップルを

対象としたパートナーシップ制度を採用する国や地域があります。

 同性のカップルにも婚姻と同様の法律関係を与えるためです。

 

 もちろん,同性婚自体を認める国や地域もあり,そのようなところでは,あえて

同性パートナーシップを認める必要性はないでしょう。

 

 同性のパートナーシップは,同性婚を認めることが(その国,地域の事情から)

困難である一方で,同性のカップルに配慮することも求められるために設けられた

制度といえるでしょう。

 

 日本でも,同性愛者の方々が同性婚を認めるよう日弁連に人権救済を申し立てる

ようです。この問題について社会的議論が深まっていく契機となるでしょう。

 

 同性婚自体を認めるのか,あるいは同性パートナー制度を設ける方向で議論が

進むのか,今後の動きに注目です。

 

弁護士 石原達也

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